DENON DP3000修理

     2008-03-06 : 科学、技術
 会社に入ってまず買ったのがDENONのレコードプレーヤーDP3000。1972年発売だから35年以上前のことだ。局用の仕様で作ったと言うことで丈夫で長持ちしていたのにとうとう去年の夏、回転がおかしくなった。めちゃくちゃな高速回転をするようになってしまったのだ。

DP3000


 当時43000円もしたこのターンテーブルは名機と呼ばれていて現在でも修理を重ねて使っている人がいる。インターネットで検索すると修理記録がたくさん出てくる。それでは修理してみようと始めたらかなりてこずっってしまい、結局半年かかってしまった。ここにDP3000を修理しようとしている人のために記録に残しておく。

 DP3000はターンテーブルに記録された磁気信号によりスピードを検出しダイレクトドライブのモーターにサーボをかけている。明らかにこのサーボがかかっていない。

 検索によると使用されているトランジスターの劣化が頻繁に起こっていると言う。確かにトランジスターのリードを見ると黒い粉を吹いているようになっている。これが導電性のものだったら確かに動作はおかしくなる。

 2SC458と2SC1213を交換しろと言うのがインターネットのご託宣だったので秋葉原に出かけ千石電商で購入する。さっそく交換してみたが直るどころか電源が入らなくなってしまった。これは悩んだ。

 原因はこれ。2SC1213のパッケージ形状が変わり、ピン配置が変わっていたこと。写真の左側がもともとついていたトランジスタ。品名が裏に表示してある。したがって品名表示面から見ると左側からベース、コレクタ、エミッタになるが写真右が新しく購入した2SC1213でエミッタ、コレクタ、ベースの順になる。全部付け直したら電源は入るようになり、元の状態に戻ったが相変わらずサーボはかからない。

2SC1213の端子配置

 次に電解コンデンサーの容量抜けが多いと言うことだったので全部交換したけれど、状態は変わらず。取り外した電解コンデンサーの容量を測定すると表示値より少ないものはなかった。昔の電解コンは容量誤差が+50%とか表示容量よりはるかに大きいので少々容量抜けが起こっても表示容量より大きい。これを最近の精度の良いコンデンサに交換すると逆に容量が減ってしまうことも有り得る。

 こうなると順に解析していくしかない。オシロスコープで磁気ヘッドから順に追っていく。どうも磁気信号が入力されたIFアンプTA7061APの出力が低く、次段の2SA562の出力側がフルスイングしていなく、大きな振幅のノイズが定期的に入る。間歇振動を起こしているような感じ。位相補償が狂っていることも考え、TA7061APと次段の2SA562周辺の部品を総取替えすることにし部品を集めた。

 結局次段のQ1、2SA562を交換することで正常に動作を始めた。33回転も45回転もきれいにサーボがかかる。取り外した2SA562のhfeを測ると160位、交換したもののhfeは250くらい。ただデータシートによると2SA562のhfeは100らしいから異常動作していた理由が分からない。TA7061APのゲイン不足をオーバースペックの2SA562が肩代わりしたのかもしれない。

ロック状態

 正常な状態の2SA562のベース(下側の波形)とコレクタ(上側)の波形を示す。

2SA562のベースとコレクタの波形


 結局使わなかったけれど東芝のTA7061APは生産中止になっていて、なかなか見つからなかった。秋月電子通商へも行ったのだが無いという。それでも店員の一人がこのICがDENONの修理部品と言うことを知っていて2年位前にも探したと言う。確かラジオストアー内のタカヒロ電子にあるはずだと教えてくれる。結局5個ほど手に入れることができたのだが、秋葉原、ナイスな街である。

 
 
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DP3000

修理したDP3000は動作しています。

「サーボ不良に陥った原因、速度読み取りヘッドの間隔が過大だった」可能性については現在では判断が難しいと思います。

ただし、ヘッド固定部の構造から中途半端な位置に固定される可能性は少ないと言えそうです。

また、部品交換を決断する前に何度も分解し、基盤洗浄したり、再ハンダなどをして、動作試験をを繰り返しましたから、その都度すべての場合で、「読取りヘッドの間隔」、が広かった可能性は低いと思います。

部品交換を始めてからも何度も組み直し、試験を繰り返しましたから、同様の理由で、部品不良だった可能性が高いと思っています。

速度検出ヘッド

DP-3000をググると、この記事にたどり着きます。その後、調子はどうですか?

そもそもサーボ不良に陥った原因、速度読み取りヘッドの間隔が過大だった、と言うことは無いですよね?

No title

suomi様、

だいぶ昔の話なので正確には覚えていませんが、10個前後交換したと思います。

古い機械はコンデンサが

「昭和の黄金時代を生き抜いてきたプレイヤーの使用例の1つ」としては、参考に出来る例の1つだと思います。(^_^;)

世の中の常識として「昔の電気製品はコンデンサがパンクしているから信頼性がない」というのがバカの1つ覚えで広まっていますが、実際にはそうでもない例も見つかったわけです。

交換したコンデンサはいくつくらいだったのですか?

No title

suomi様

コメントありがとうございます。

電子機器の経年変化はいろいろな部品に影響を与え、電解コンデンサも劣化すると思います。

ただ、私の使用環境では容量が表示値より少ないものはなく、交換によって機能が復旧することが無かったというレポートです。

私の作業結果からなにか一般化した結論を見出すのは難しいと思っています。

コンデサが必ず原因ではない

古いオーディオ機器だとコンデサの容量抜けが言われるけれど、実際にはそうじゃないこともあるんですね。

DP3000修理

Edisviksv108様、

この時代の電子機器はディスクリート部品を使っていて修理が可能なのがいいですね。もっともあと10年もするとトランジスタを購入できるか不安はありますけど。ぜひ修理に挑戦なさってください。

最近はデジカメなど半年ごとにモデルチェンジ。20年後にも大切に使われるだろう物があるでしょうか?我々消費者がいけないのでしょうね。

私も挑戦します

先日、実家を整理していた時、眠っていたDP3000を発見しました。亡き父と一緒に楽しんだLP鑑賞が懐かしく電源入れるも、高回転で回り速度安定しませんでした。 駄目元でネット検索すると、沢山の修理書き込みを発見、勇気付られました。
私も部品交換を行ってみようと思います。 上手く治れば良いのですが。。

Re: その後のDP3000

修理後大分たちましたが、現在も問題なく動作しています。機械系でなく電気系に問題がある場合は修理がとても有効だと思います。是非もう一台現役に復帰させてあげてください。

その後のDP3000

ちょっと目に止まりましたのでお伺いいたします。
この記事から4年経ちましたが、その後の回転の調子はいかがでしょうか。
私も使用していまして修理しようかどうしようか迷っています。
なにか教えていただければ。

私もDP3000

私のDP3000もだいぶ歳をとったのでオーバーホール出来るところを捜していましたらこのブログにたどり着き、興味深く拝見しました。
DENONでは修理はOKでもオーバーホール(コンデンサー、TR全交換)までは無理との事でした。
技術をお持ちの貴殿が羨ましい・・・

dp3000オーバーホール

pocky様
コメントありがとうございます。
コンデンサーを全交換したのですけれど、実際に容量抜けしていたのは一個もありませんでした。ですからDENONで修理してくれるうちはオーバーホールの必要はないと思いますが、いつまでやってくれるのでしょう、大変心配ですね。

参考になりました

30年前に欲しくても買えなかったものを
今になってやっとオークションで手に入れました。
回転が時々少しノッキングしていました。
この記事を参考にトランジスタを交換してみたら、
みごとに直りました。
同じ回路(トランジスタ)だったので参考になりました。
大事に使用したいと思います。
ありがとうございます。

よかったですね

kazuf42様、
これでまたDP3000が一台、生き返りましたね。この時代の電子機器はどうにか直すことが出来るので長持ち、大事にしたいと思っています。
DP3000の修理では、私もインターネット上の大勢の方のレポートを参考にしました。少しでもその恩返しが出来ればこんなにうれしいことはありません。
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